「ベター・コール・ソウル」初の「ブレイキング・バッド」シーンはデジタルでなくフィルムで撮影された

ベター・コール・ソウルS4E5「危ない橋」で、初めて「ブレイキング・バッド」時代のシーンが描かれました。ファンの多くは「全くの予想外だった!」と驚きつつも大喜び!(私も私も)
このオープニングに対する海外の反応や、撮影の裏話をまとめてみました。

以下「ベター・コール・ソウルS4E5までと「ブレイキング・バッド」のネタバレあり。未見の方は注意!

S4E5「危ない橋」の冒頭、いつもとはかなーり様子が違うジミーとフランチェスカが登場しましたが、このシーンはフラッシュフォワード(未来の出来事)で、描かれているのは「ブレイキング・バッド」時代の二人。「ブレイキング・バッド」S5E15「ニューハンプシャー」の直前に当たり、ソウルの服装や鼻のばんそうこう、キャリーバッグもすべてS5E15と全く同じです。

「ブレイキング・バッド」S5E15「ニューハンプシャー」より

放映時の反応

放送前に製作陣が「次回のティーザーは見逃さないで」とか「ネタバレ前に観ることを強くオススメ」とかツイートしてたので、何かあるのかな?かな?とは思ってたんですが、もう本!当!に!ビックリ!しました。嬉しい驚きで心臓のバクバクが止まらず…。

以前チャック役のマイケル・マッキーン氏がアップした写真のジミーが、まさかこういう形で出てくるとは!

脚本家エリック・スタンジェルさん↓をはじめ、Twitterではオープニングを観た人から「なんてこったあああ」「これは予想外!」「鳥肌立った」と次々に驚きのツイートが。

みんな”ソウル”との再会に本当に喜んでいましたが、中には 「すごく嬉しかったけど同時に悲しくなる…」と言っている人も。うう…わかる…私も「ブレイキング・バッド」でソウルしか知らなかった頃とは全然違う感情が湧いてきて、なんかすごく切なかったです。

もちろんRedditでも「シュレッダーから画面が変わった瞬間心臓止まった」「今までで最高のオープニング」「完全に不意を突かれた」「見逃した!どんな内容?」→「聞くな。自分の目で観るべき」と大盛り上がり。

ただ、Redditの「ベター・コール・ソウル」板では、通常、毎週のエピソード放映時に「ライブスレッド」が立ってリアルタイムでやり取りできるんですが、よりによって今回、モデレーターの事情でライブスレが立たず。残念…。でも、さすがRedditだなと思ったのが、後日モデレーターさんが現れてこの件について謝ったところ、ユーザーから「それは君が背負うべき十字架だな…(S4E1のジミーのセリフ)」とか「ミスは問題じゃない。誰でもミスはする。問題はこの仕事に専念してるかどうかよ(S4E5のペイジのセリフ)」とか、「ソウル」ネタのレスが次々についてたことです。好きw

撮影の裏話

RedditやTwitter、Youtubeなどでこのシーンの感想を見ていてわりと多かったのが、「間違えて『ブレイキング・バッド』再生したかと思った」「『ブレイキング・バッド』の削除シーンだと思った」という声。「ブレイキング・バッド」のワンシーンをそのまま持ってきたと思った人までいました。

ファンが勘違いするほど「ブレイキング・バッドみ」に溢れていたオープニングですが、当時と同じように見せるために撮影ではさまざまな苦労や工夫があったようです。

このシーンは「ブレイキング・バッド」に合わせてフィルムで撮影された

「ベター・コール・ソウル」は全編デジタルカメラで撮影されていますが、「ブレイキング・バッド」はフィルム撮影でした。「Insider Podcast」によると当時のままの雰囲気を表現するためにこのシーンだけ35mmフィルムで撮影したんだそうです。言われてみれば、わずかに粒子が乗っているような、フィルム独特の雰囲気ある画面になっています。こだわりスゴイ。

【余談】冒頭のシュレッダーのシーンだけは、スローモーションにしたかったためデジタル撮影にして、今シーズンのすべての撮影の一番最後に撮ったそうです。

このシーン、よく見るとレンズに紙が降り積もっていません。ポッドキャストでは具体的にどうやって撮ったのかは語られていませんでしたが、難しい撮影だったようです。
ちなみにペイジ役のカーラ・ピフコさんは「ハムスターの軍団が(カメラに映らないよう)紙を蹴ってた」と言ってました。かわいいかよ…。

【さらに余談】ジミー役のボブ・オデンカークが今シーズン一番最後に撮影したのは、本エピソードで「ジミーがセラピストの名刺をやぶってトイレに捨てるシーン」だったそうな。(脚本のトーマス・シュノーズ氏のツイートより)

ソウルの事務所は倉庫に保管してあったもの

ソウルの事務所は今回のために一から作り直した…のではなく、「ブレイキング・バッド」当時のもの。アルバカーキの倉庫にちゃんと保管してあったんだそうです。ただ、小道具などはそのままでは使用できないものが少なくなかったため、細部までこだわって修正したとか(例えば「記事がない新聞」とか。4Kではハッキリ見えてしまうため)。

また、ソウルが事務所の壁を壊すシーンがありましたが、撮影では本当に事務所(のセット)を壊したわけではなく、色んな角度から撮影できるよう同じ模様の壁をいくつか作り、複数回撮ったそうな。

そういえばこのシーンについて、Redditやエンタメ系サイトのレビューなどで「チャックが壁を壊すシーンを連想した」という声がチラホラありました。言われてみれば「終焉」と「破壊」が共通してますね…。

S3E10「灯り」より。壁を破壊するチャック
本エピソードで壁を破るソウル

一番苦労したのは「ばんそうこう」!?

プロデューサーのダイアン・マーサさんは、セットよりも何よりも大変だったのはソウルの鼻に貼られている「ばんそうこう」だった、と言っています。というのも、ばんそうこうがはっきり映っている写真(静止画)がなかったため、動画を頼りに全く同じばんそうこうを探しまくったのだとか。

そんなに本当に細かいところまで…なんかもうありがとうありがとう…(感謝)ってなりました。「ブレイキング・バッド」のワンシーンだと勘違いしたファンがいたくらいですから、製作陣の苦労も報われたのではないでしょうか。

このエピソードに「ソウル」が登場した理由

ところで、なぜシーズン4半ばのオープニングにいきなり”ソウル”が登場したんでしょうか?前出のポッドキャストによると、このエピソードの最後に理由があるようです。

エピソードの最後、「起訴前ダイバージョン」監督官のところを訪ねたジミーは、自分の未来についてこんなふうに語っていました。

終了するまで毎月第2月曜はかかさずここに来る。時間通り。携帯ショップの仕事も続ける。9ヶ月と24日後には弁護士資格を取り戻し、パートナーと一緒に事務所を開くんだ。以前と同じように、だが、もっといい事務所を。前よりも大きな事務所にしてたくさんのクライアントを抱え、バンバン裁判に勝つ最高の弁護士になって、世間に認めさせる

ジミーはこんなふうに言っているわりには、実現させるための行動は何もしていません。むしろ逆方向に向かうようなことばかりしています。本心と言うより自分に言い聞かせているようでもありました。「ブレイキング・バッド」を観た人であれば、今後、ジミーの言葉の(少なくとも後半部分は)何一つ実現しないことを知っていますが、このエンディングに対して”ソウル”のオープニングがあることで、ジミーの言葉の悲しさがより強調されるようになっています

今エピソードの脚本を書いたアン・チャーキスさんによると、オープニングで短く「ブレイキング・バッド」時代を描くというアイデアはシーズン3の頃から出ていて、「ただ適切で自然なタイミングを探していた」のだそうです。以下意訳。

このエピソードのエンディングとオープニングを合わせて観て、できれば視聴者に気づいてほしかった。ジミーが(エピソードの)一番最後に言ったことはとてもほろ苦く、悲しいことだということに。なぜなら彼が言っているようなことは決して起こらないから。彼がなりたいと言っているような弁護士にはなれないし、キムと一緒に事務所を立ち上げることもない。

うう…。

また、グールド氏としては「ベター・コール・ソウル」が「ブレイキング・バッド」に近づきすぎる前にこのシーンをやりたい、と思っていたようです。なぜなら「ジミーが完全に”ソウル”になった後にこのシーンを観たとしても、今ほどのインパクトはなかっただろうから」。
ごもっとも!おかげさまでめっちゃビックリしました。ていうかこれから「完全に”ソウル”になったジミー」が観られるのか…。胸熱だけど、悲しくもあり…複雑。

ジミー→ソウルと言えば、ポッドキャストのホスト クリス・マカレブさんが今回のオープニングを観てこんなふうに言っていたのが印象的でした。

あの頃(「ブレイキング・バッド」時)もジミーはいたんだ。ジミーはずっとそこにいたんだ。

聴いててちょっと泣きそうになりました。やべえな私。

結局のところ、シーズン4のプロモーション画像のように、“ソウル”はジミーの仮面に過ぎないのかも。「ブレイキング・バッド」後、ジーンの世界でジミーは自分を取り戻せるのかどうか?今後がますます気になります。

ソウルが壁から取り出した箱の中身や「11月12日」など、このシーンの”謎”についてはこちら↓
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