ラロのあのシーンは実際にあった事件からヒントを得た

ベター・コール・ソウルS4E10「勝者」のあるシーンが「マンガっぽい」「ありえない」…と一部のファンがザワザワしてましたが、実はあのシーン、実際に起った事件を元にしているようです。

以下、「ブレイキング・バッド」および「ベター・コール・ソウル」シーズン4最終話までのネタバレありです。未見の方は注意!

ガスやマイクの慌ただしい動きを見て「なにかある」と察したラロ・サラマンカ。

まさかの侵入方法

彼はマイクが出入りした店「トラベルワイヤー」へ行き、受付くんの隙を見てカウンター内に押し入りますが、この侵入の仕方がなかなかエキセントリックだったため、海外掲示板Redditでは放送直後から関連スレッドが乱立しました。

多くの人は単に面白がっていて、このシーンをGIF動画に切り出す人や、「もうちょっとリアルだったらこうなってた」という動画をアップする人、スター・ウォーズなパロディ動画↓を作る人まで現れる始末。好き。(下の動画は放送後半日たたないうちにアップされてました。仕事早すぎぃ!)

Hello there Lalo from r/betterCallSaul
かわいそうなフレッドくん…(受付の人) Hello there Lalo | Reddit – Better Call Saul!

反面、「あんなの無理」「現実的じゃない」「なんかマンガっぽい」とお怒りの人もたくさんいました。私自身も「ちょ、登るの早っっ!」ってなったし、ちょっと現実には難しいんじゃ…と思ったんですが、脚本のトーマス・シュノーズ氏の発言(Insider Podcast)によると、このシーンは実際にあった事件にヒントを得ているようです。

ラロがどうやって侵入するかについてライターズルームでかなり話し合った。防弾ガラスがあるしドアはロックされてる。発砲して突破することもできない。
それで僕はネットに繋いで「強盗」と、「トラベルワイヤー」と同業種のすごく有名な企業の名前を打ち込んでみた。そしたら一番最初に出てきたのが、男が天井に登って天井裏を通って飛び降り、反対側にいたかわいそうな女性から金を奪う動画だった。「OK、そうか、こうしよう」と。実際にあった事件が元なんだ。

劇中の「トラベルワイヤー」は電信送金の取扱店ですが、この分野で有名な実在の企業といえば「ウエスタンユニオン」。そこで「強盗 + ウエスタンユニオン(burglary Western Union)」でググってみると、一番最初に出てきたのがまさにシュノーズ氏が話している通りの動画でした(2018年11月現在)

以下がその動画だと思われます。マイアミのウエスタンユニオンで起こった実際の事件の監視カメラ映像です。暴力注意。(女性は無事で、のちにインタビューに答えています)

動画のコメント欄に「これラロだな」「これが『ベター・コール・ソウル』のラロの襲撃のヒントになった」「ラロ・サラマンカ」「ラロ?」と、ラロ関係のコメントしかないのがスゴい。
Violent Armed Robbery Of Western Union Caught On Surveillance Video | Security System Installer LA

注目は最初の数秒なんですが、受付の女性がガラスの向こうの人影に気づいてからカウンター内に侵入されるまでほんの3秒程度。ラロの場合はもっと距離がありましたが、まあ現実に不可能と言うほどではないのかもしれません。

Redditではこの動画の他にもいくつか、犯人が天井をつたって侵入したり逃げたりした実際の事件が挙げられていました。結構あるのがガクブル。

ラロ役のトニー・ダルトンは「ブレイキング・バッド」ファン

Tony Dalton on the red carpet of Fenix Awards 2018. Mexico City, 7 November, 2018. Picture by Milton Martinez / Secretaria de Cultura CDMX. via Wikimedia

ラロ役のトニー・ダルトンはアメリカ生まれのメキシカン・アメリカンですが、俳優として成功したのはメキシコだったらしく、「ブレイキング・バッド」もメキシコで観ていたようです。ラテン・アメリカでも「ブレイキング・バッド」は人気で、謎のリメイク版も作られました。

関連トリビアスペイン語リメイク版の「ブレイキング・バッド」が存在する!

この「ラロ・アタック」シーンのメイキング動画 (残念ながら日本からはVPNとかアレしないと観られないやつ)で、トニー・ダルトンは次のように言っています。

何年か前、「ブレイキング・バッド」を観てた時は気づかなかったよ。「ラロ」の名前が出てきた時、それが僕のことを話してるんだとはね。

また、AMCのインタビューによると、オーディションを受けた時点では何の役なのか知らなかったそうで、とにかく「(「ベター・コール・ソウル」製作の)ヴィンス(・ギリガン)やピーター(・グールド)と仕事がしたかった」んだそうです。脚本を読んで初めて「これは1エピソードだけの役じゃないぞ」と気づいたのだとか。

現場では「ブレイキング・バッド」ファンぶりを発揮しているようです。

僕がヘクターにあのベルを渡すんだとヴィンスから聞いて「なんだって?一体俺はどこにいるんだ。これは現実に起こってることか?」って。信じられなかったよ。

僕がロス・ポジョス・エルマノスに座ってガスに話しかけてるんだ…。信じられないよ。撮影を終えて(訳注:ガス役の)ジャンカルロ・エスポジートのところへ行って「一緒に写真撮ってもいいですか?」って(笑)。ファンをドラマに出演させてるようなもんだよ!なんていうか、最高だよ。

「一緒に写真撮って」かわゆす…。

シーズン4の最後の方になってやっと登場したラロですが、「ブレイキング・バッド」でソウルがあんなにもラロのことを恐れていたのを見るに、来シーズン以降、ラロが大活躍することになりそうです。

ちなみに、上の「ウエスタンユニオン」の強盗がその後どうなったのか検索してもわからなかったんですが、ラロは捕まらないんでしょうか?指紋とか結構残ってそうなんですが…。
ただ、「ベター・コール・ソウル」のストーリーカードには、このシーンのあとラロが店ごと燃やしたと思われる記述があるので、来シーズンで顛末が描かれるのかもしれません。