【AMA】ナチョが転んだのは演技じゃなかった!マイケル・マンドゥの「何でも聞いて」スレッド日本語(意)訳

2018/8/30、ナチョ役のマイケル・マンドウが米掲示板RedditにAMA(Ask Me Anything)スレッドを立ち上げました。 「『ベター・コール・ソウル』のことでも、ナチョのことでも、僕のキャリアのことでもなんでも聞いてね!」と書かれたスレッドには世界中のファンから1000件以上もの質問が寄せられ、マイケル・マンドウはたくさんの質問に丁寧に答えていました。

本人のスレッドだと証明するためインスタグラムにアップされた写真。 via @michaelmando

ちなみにマイケルさんは20代中頃までに5カ国10都市で暮らし、カナダのモントリオール大学とドーソン大学を卒業、「ベター・コール・ソウル」では英語の他にスペイン語も流暢に話していますが、ネイティブ言語はフランス語だそうです。OH…

以下、回答があった約40件の質問の中から、いくつか紹介してみます。

【長めの言い訳】毎度毎度の超意訳です。というか、マイケル・マンドゥさんはとても頭のいい人で、回答で使っている単語や言い回し、比喩などが私の英語力的には難しく、理解・表現しきれないところもあり、いつも以上に意訳な気がしますがご了承ください…。

以下ベター・コール・ソウルS4E4までのネタバレあり。未見の方は注意!

「ベター・コール・ソウル」に参加する前に「ブレイキング・バッド」は観てた?

A 「ブレイキング・バッド」を観終わったのは、ナチョ役に決まる一週間前

マイケル・マンドゥには兄弟が二人いるそうですが、そのお兄さんたちが「ブレイキング・バッド」を観ているところに出くわすまで、一度も観たことがなかったそうな。ただ、その時エピソードの最初に出ててくる”ヴィンス・ギリガン“という名前がとても心にひっかかったそうです。

その数週間後、あるオーディションのリクエストが来たんだけど、信じられなかったよ。(ギリガンの名前が妙に気になったのは)何かが()僕にこのことを気づかせたかったからだとすぐにわかった。彼らがスクリーンテストのために僕を呼び寄せようとしてると知って「ブレイキング・バッド」を観始めたんだ。正式にオファーを受ける一週間前に全シリーズを観終わって、この作品に関われる僕はいかに恵まれているのかがわかった。特に、僕がカナダ人で、この仕事を受けるまでたった1度、ほぼ1日しかアメリカに行ったことがなかったことを考えればね。

中の人は「宇宙が」と言ってるけど、うまく訳せなかったんです…。

カナダ人なのは知ってたんですが、「ベター・コール・ソウル」までアメリカに一回しか来たことがなかったというのは驚きました。製作のピーター・グールドヴィンス・ギリガンがどういうきっかけでマイケル・マンドゥを抜擢したのか知りたいところですが、やっぱり「ファークライ3(マイケル・マンドゥが敵方のリーダー”バース”を演じたゲーム)」とかかな?

ナチョを演じるためにどんなふうに心の準備をした?

A 彼の民族的背景について調べた

ナチョ役に決まって最初にしたいと思ったことはナチョの故郷や祖先の歴史を調べることだったそうです。おお…。

おかげでマヤやアステカの文化について知ることができた。彼らの星とのつながりとか、コミュニティのために自らを犠牲にする高潔さとか…。たとえば彼らは神に身を捧げる人を選ぶためにゲームをするんだけど、身を捧げるのは勝者なんだ。僕らのものの見かたでは理解しがたい気もするけど、そこには複雑な、一種の”力”がある。彼らは死を恐れない。
このことが心のどこかにあって、シーズン3の終わりからシーズン4にかけて役に立った。僕が「ナチョにとって自分自身が生き残るかどうかよりも、父親を救えるかどうかのほうが大事なんだ」と気づいた時にね。

まさかのアステカ文明まで遡って役作りをしたとは。ナチョさん(の中の人)がインテリみ溢れててまぶしい…。

TVで放送される時は観る?

A 観ない

自分が出ている作品を見ると、彼の中の”もうひとりの自分”が「ひとつもいいところがない」と言ってくるんだそうで…。みんなが集まってプレミアを観ているときも、抜け出してあたりをウロウロしたりしていたとか。

Hollywood Reporterのインタビューによると、この彼の自信のなさに気づいたマイク役のジョナサン・バンクスは、ある助言をしてくれたそうです。これがカッコいい。

シーズン2の頃、あるシーンを撮影していて彼(バンクス)は遠くから僕の演技を見ていた。撮影後「こっちに来い坊主、話したいことがある」って。「聞け、言っておきたいことがある」彼は人を褒めるのがあまり好きじゃなけど、こう言った。「俺はお前ができるやつだとわかってる。スタッフも全員わかってる。だがお前はお前自身を良いと思ってない。お前は夜眠れてないだろう?」「全世界がお前をどう評価しようが関係ない。お前が自分自身を信じられない限り、ずっと眠れない夜を過ごすことになる」。確かに彼は正しかった。おかげで自信を持つことがどんなに大切なことかわかったんだ。

マイクがジェシーに言ってる感じで脳内再生されてしまい、痺れました。リアルでもかっこいいマイクおじいちゃん…(きゅん)。

ナチョのどんなところに一番共感できる?(父親への愛情は除いて)

A 本当に大切なことにフォーカスできるところ

マイケル・マンドゥがナチョについて一番素晴らしいと思うのは「物事を自分のエゴ抜きで考え、大事なことに集中できるところ」とのこと。

彼は力や欲望に振り回されない。他のみんなと同じようにプライドはあるけど、自分の人生にとって本当に大切なことを(プライドよりも)優先できる余裕がある

ウォルターに聞かせたい…。最初から最後まで真逆のウォルター…。

「ブレイキング・バッド」のキャラクター(ナチョ以外)を演じるとしたら誰?

A 他のキャラクターは考えられない

ナチョというキャラクターと彼の物語に惚れ込んでいて、特にナチョが非常に困難な状況に陥っている現時点(「ベター・コール・ソウル」S4前半)では、「自分をナチョから引き離すことはできない」のだそうです。

彼が父親の安全を確保して、カルテルを抜けられるよう願ってる。たぶんその後だったら、もう少し距離をおいて違う返事ができると思う。

果たしてその日は来るのか…。今回のAMA含め、いろいろインタビューとかを読んでみましたが、ナチョさんの明るい未来が全然見えてこないという…。

ヘクターの薬を入れ替えるシーンは緊張した?

A 同じ行動でもその理由を知るとすごく見え方が変わってくる

観ててめっちゃ緊張するシーン

S3E8「転倒」でナチョがヘクターの薬を入れ替えるシーンについて。

質問者はこのシーンが「今まで観た映画やTVドラマのなかでも一番精神的にキツいシーン」だったそうで「あなたにとってもそうでしたか?」と聞いていました。

僕にとってあのシーンは「現実や体験はその人その人にとって唯一のもので、そこに至る背景を知らなければ真に理解することはできない」ってことのデモンストレーションだった。例の薬の入替えは、表面的にはすごく簡単そうだし、下手したら陳腐に見えるかもしれない。ところが、失敗すれば家族の死を招くことになりかねないと知った途端、このシンプルな作業が核爆弾を解除するくらい重要なものになってくるんだ。

深い…。

ピル入替えシーンの撮影は1回で成功した

このシーンについて、他の質問に答えてこんな話もしていました。二、三日ピルケースを落とす練習をしてから撮影に望んだところ、「ラッキーなことに最初の一度でうまくポケットに入れることができた」のだそうです。もう少し遠くからでもできる気がして何度か撮り直しをさせてもらったそうなんですが、その後は何度やっても失敗してしまい、結局最初のテイクを使うことになったとか。ウォルターの屋根ピザ↓と似たエピソードですね。
関連トリビアウォルターがピザを屋根に投げるシーンは、たった1回の撮影で成功した

「おまえは私のものだ」のシーン、現場はどんな雰囲気だった?

A ナチョだけのシーンは後日一人で撮影した

“FROM NOW ON, YOU. ARE. MINE.”

S4E2「息の根」ラスト、ガスがナチョに「今からお前は私のものだ」と告げるシーン。

あのシーンはたくさんのアングルからの画が必要だったので、その日の内に僕のパートまで撮り終えることができなかったんだ。あのシーンの最後のほう、ナチョのところは、数ヶ月後に別の駐車場で撮影した。そのとき他の俳優は誰もいなかった。挑戦だったけどなんとかやり遂げたよ。

たぶんナチョがアップになるところのことだと思うんですが、一人であの演技ができるとはー!もちろん編集の力もあると思いますが、全然違和感なかった…。Redditのみなさんも驚いていました。

ガスの部下に撃たれた時痛かった?

A 耳栓を忘れたせいで、耳を撃たれた!と思った

この回のメイクアップすごかったよね

S4E3「みんなめでたし」冒頭、偽装工作中にナチョがヴィクターに撃たれるシーンについて。

不幸にも僕は実際に撃たれたことがあるから、あのシーンはすごく不安だった。耳栓を耳の奥深くに入れすぎて、医療班にピンセットで取り出してもらったんだけど、撮影が始まるまでそれをずっと握りしめていて…。ディレクターが「アクション!」って言って、僕が「もう電話してもいいか」ってセリフを言い、ヴィクターがトリガーを引こうとした時に………気づいた。耳栓をしてない。まだ手に持ってる、って。
乾いた砂漠に銃声が雷みたいに響いて、僕は倒れながら耳が完全に撃たれたように感じてた。何一つ聞こえなかったんだ。心の中でふたつの声がしたよ。一つは「撮影を止めなきゃ、これはかなりやばいぞ!」、もう一つの”俳優”の方は「黙れ!今のカットを使え!」って(笑)。
実際使われたのはその時のカットだと思う。

その後一日中、みんなが何を言ってるかほとんど聞こえなかったそうです。

実際に撃たれたことについては多くを語らなかった中の人

現実で撃たれた件について、「どんなシチュエーションで?」と聞いた人もいましたが、返事はありませんでした。どうもあまり話したくないようで、Redditorが見つけてきたある記事によると以前は IMDbのプロフィールに
  • 大学に入る前花形アスリートだったこと
  • ホッケーとフットボールとサッカーが得意だったこと
  • ギャングの抗争に巻き込まれて膝を撃たれたためアスリートを辞めたこと
…などが書いてあったそうなんですが、インタビュー時に本人にそのことを聞いたところ「それは消してもらわなきゃ!」と言っていて、実際に数日後に消されていたそうな。
マイケル・マンドゥは父親がひとりで自分を立派に育ててくれたことを強調していて、撃たれたエピソードは「自分だけが責任を負うべき馬鹿なこと」だと言っていたようです。記者さんは「自分よりも家族が誤解されることを心配していたようだ」と書いています。

このエピソードが「めっちゃナチョみある!」とRedditorのみなさんもザワザワしてました。こういう経験があるからこそ、ナチョの演技にあんなに真実味があるのかもしれません。

ナチョが人を殺したのはあの時が初めてだったと思う?

A 個人的にはそうだと思う

この後のナチョの表情がなんとも…

S4E4「話せと言うから」で敵のアジトに乗り込んだサラマンカ兄弟を助けに行く途中で、ナチョが人を撃ち殺した件について。

彼は人生でたくさんの暴力を見てきた(特にトゥコと一緒にいた時は)。けど、僕は彼が人を殺したのはこれが初めてだと思う。これは僕の意見で、作品内での事実ってわけじゃないけど、ヘザー・マリオン(このエピソードを書いた素晴らしい脚本家だ)と僕はそういうふうに演じるのが適切だろうと話した。ナチョは無邪気に「人を殺すなんてことは絶対にしない」と信じていただろうから、本当に悲劇的だ。

このAMAが行われる前に、Redditのあるスレッドで「ナチョが人を殺したのは初めてなんじゃないか?」という意見が出て、たくさんの人が「そうだと思う」「自分もそんなふうに感じた」と言っていましたし、私も初めて観た時そう思いました。何のセリフもなく表情だけで観る人に伝えることができる演技力、ほんとスゴイ。

撮影中になにかおもしろいアクシデントはあった?

A 僕が演技じゃなく素で転んだこと

(S4E4の)アクションシーンで、僕がドラム缶のところで転んだのは演技じゃない。ディレクターのジョン・シバンは「素晴らしい!それいただき!」って叫んで、僕のところに来て、転ぶ演技を加えたのはすごく良かったと言ってくれた(笑)。けど、あれは演技じゃなくて本当にアクシデントだったんだ。

結構痛そうだったけどほんとに転んでたんだ…。

すっ転ぶナチョさん

余談ですが、このシーンでナチョが銃を向けていたのは敵方のギャングではなくサラマンカ兄じゃなかった?と言ってる人もいました。確かにそんなふうにも見えます。ナチョの本当の敵はサラマンカ・ファミリーだということを考えれば、あながち間違っていないのかも。無茶しやがって…。

そもそもナチョはなんでカルテルに入ったと思う?

A 経済的な理由だったと信じている

「自分のためなのか、父親の店のためなのかはわからないし、ピーターとヴィンスがどう考えているかによる」としながらも、マイケル・マンドゥ個人としてはお金がきっかけだったと思っているようです。ただ、辞めようと思えば辞められると思っていたのが悲劇につながった、と。

(理由は何であれ)彼は明らかに「ダークサイドにどっぷり浸かることなく抜けることができる」と思っていた。悲惨なのは、今の状態から彼が抜け出すためには炎の中を通り抜けなければならないってこと。そして、彼を取り巻く世界が、彼がかつてそれから逃げようとしていたモンスターに、彼自身を変えていくこと。

他の質問にもナチョの今後について「炎から逃げるためには炎の中を歩かなければならない。飲み込まれるのではないかと恐れながら」と答えていますし、前出のHollywood Reporterのインタビューでも「ナチョは光と影の間でどちらを選ぶか迫られている。彼の選択は明らかに光なんだけれど、光を得るためにはさらに深く暗闇へと進まなくてはならない」と言っています。

ナチョは自分の人生を取り戻せる?

A わからない

プロダクション的な意味で言えないというのももちろんあると思いますが…。

ナチョが(人生を取り戻すことに)成功するかどうかはわからないけど、かなり厳しい状況だ。成功してほしいと願っているし、僕はセカンドチャンスを信じたい方なんだ。自分では(ナチョがどうなるかは)決められないけど、何が起こるにせよ、ナチョは必要なら彼の最後の一息まで闘うと思っているよ。

他のインタビューでも、「ナチョは家族の安全のために命をかける必要があるならそうするだろう」と言っていましたし、「最後の一息まで」とか、ちょっとナチョさんホントやばい感じ…?

マイケル・マンドゥはこのAMAで(他のインタビューでも)、繰り返し繰り返しナチョの先行きがさらに困難になることを示唆していましたが、個人的にはナチョさんにはほんとに逃げ延びて幸せになってほしい。「ブレイキング・バッド」でジェシーを観ていた時の感覚に近いものがあります。がんばれナチョ…!

この他にもいろんな質問に答えてくれていて、パイナップルの乗ったピザをガーリックソースにつけて食べるのが好き(!)とか、俳優にならなかったらミュージシャンになっていたと思う、とか、実際アルバムをリリースする予定があるとか(買う)、キャストはみんなすごく仲良しだとか、ウォルターを演じたブライアン・クランストンのことが大好き&仲良しだとか、彼のいろいろな面を知ることができてとても面白かったです。

原文はこちら↓をどうぞ。
HELLO! I am Michael Mando, Nacho from Better Call Saul. AMA! | Reddit