トゥコのセリフにある「コロンビアン・ネクタイ」とは、実際にコロンビアで行われていた残酷な処刑方法のことです。

画像等はありませんが、グロ耐性が低めの方はやや閲覧注意です
「ベター・コール・ソウル」s1e2「トゥコ」で、ジミーが二人のスケボー小僧に対する「刑」を少しでも軽くしようとトゥコ・サラマンカさんを説得中、話の通じないトゥコさんは「コロンビアン・ネクタイか。ノドを掻っ切ってその傷口から舌を引っ張りだしてやるんだよ!」と言っています。
この「コロンビアン・ネクタイ」とは、トゥコさんが言っている通り、人の喉元(顎の真下)を深ーく切り裂き、大きく開いた傷口から舌を外に引っ張りだすという残酷な処刑方法のことで、主にコロンビアで実際に行われていました。もともとは1950年頃、コロンビアのラ・ビオレンシア(La Violencia)と呼ばれる自由党と保守党の内戦時代に始まったそうで、凄惨な遺体を敵陣営に見せつけ、怯えさせるための心理戦として頻繁に行われたようです。
死後の遺体損壊として行うだけでなく生きたまま行われることも珍しくなかったそうで、当然ながら犠牲者は窒息、もしくは失血によって死に至りました(多くは即死ではなかったという話もあります…)。舌は時に胸のあたりまで伸び、見た目は短いネクタイを着けているように見えることからこの名がついたようです。ちなみに舌を傷口から出さない「コロンビアン・ネックレス」と言われるバージョン?もあるそうな…。
その後も麻薬組織間の抗争等で行われることが多かったことから、麻薬王パブロ・エスコバルが考案した処刑法だと紹介されることもあるようですが、これは間違いとのこと。
(関係ないけどエスコバルが出てくるNetflixオリジナルドラマ「ナルコス」も面白いですよ!)
「ブレイキング・バッド」でもジェシーが言っていた
想像するだけでも恐ろしいこの処刑方法、そのあまりのインパクトのせいか、映画や漫画に登場することも多いようです。映画「羊たちの沈黙」で有名なハンニバル・レクターの過去を描いた海外ドラマ「ハンニバル」のs1e11「ロティ」ではそのまんまの処刑シーンがあるようですし、 日本の漫画「嘘喰い」にも出てくるそうです(私はどちらも未見)。変わったところでは「Colombian Necktie」という名前のメタル・バンドも存在しています。
さらに「ブレイキング・バッド」でもこの名前が出てきていました。

You mean, like “Dear Krazy-8, hey, listen, if I let you go, you promise not to come back and waste my entire family? No Colombian neckties?” You mean that kind of reason?
まさか “開放してあげるから二度と戻ってこないと約束してくれ、家族にも手を出すな、報復はナシだ” そんなこと言うつもりか?
日本語では吹替も字幕も「報復はナシだ」となっていますが、英語では「No Colombian neckties(コロンビアン・ネクタイはなしだ)」と言っています。「恐ろしい報復方法」の代名詞のようになっているんですね。