本家「ブレイキング・バッド」では色が重要な意味を持っていましたが、「ベター・コール・ソウル」も同様に色に意味が込められているようです。
ある「ベター・コール・ソウル」ファンが製作者ピーター・ゴールド氏に、「『ソウル』には黄色と青があふれてるようだけど、なぜなのかヒントをくれる?」とTwitterで聞いたところ、ゴールド氏は以下のように答えていました。
「ベター・コール・ソウル」では(「ブレイキング・バッド」とは異なる)新しいカラー・コードを使ってるんだ。おおまかに言うとホットな色は犯罪に関連付けられてる。あとはわかるよね。
ゴールド氏が言及している通り、「ベター・コール・ソウル」では青やモノトーンなど寒色系の色は「無実」または「無害」、黄色〜赤など暖色系の色は「有罪」「危険」を表しているようです。ちょっと例をあげてみます。
シーズン1を最後まで観ていない方は注意!
これ以降は「ベター・コール・ソウル」シーズン1のネタバレになります!
危険なヤツは暖色、無害な人は寒色の服を着ている

例えばエピソード1でスケボー小僧ブラザーズが「ひき逃げした!」とトゥコのおばあちゃんを責めているシーン。スケボー小僧(弟)のシャツは赤。対するおばあちゃんのカーディガンは青。

エピソード2でトゥコが荒野にジミーを拉致したシーンでも、怒っているトゥコは赤系のシャツなのに対し、冷静なナチョはモノクロに近いシャツを着ています。

ところが、同じナチョでもエピソード終盤でジミーの事務所に”協力”を頼みに来た時は真っ赤なシャツを着ています。
同じ人物でもその時々の状態によって違うようです。

ケトルマン夫妻も同様です。エピソード1に登場した時は青い服を着ています。この時はこの人たちが有罪なのかどうかは判然としませんでした。

ところが、エピソード7でキムが夫妻に有罪を認めることを勧めるシーンでは、服装は一転して暖色系に。夫人に至ってはこれ以上ないほど真っ赤な服を着ています。この時点では、この人たちが有罪なことはもうハッキリしていました。

ジミーがケトルマン夫妻にお金を”押収”したことを伝えに行った時も、二人とも赤系の服を着ています。全体が赤ではなくニュートラルな色も入っているのは、この後かわいそうなことになるからでしょうか?
他にも、ジミーが不正を見つけた老人ホーム「サンドパイパー・クロッシング」の受付のお姉さんの真っ赤なボーダーのセーターや、「HHM」のテーマカラーである「ハムリンディゴブルー」、警官の青いシャツなど、気をつけてみるといたるところにこの「カラー・コード」が使われています。
服だけでなく照明や小道具の色も…
服装だけでなく、画面全体の照明や床、小道具の色に「カラー・コード」が使われているシーンもあります。例えばジミーがナチョの計画を遠回しにキムに伝えようとする場面。


写真1が電話をかけた直後のシーン。青い床から赤い床の方へ歩きながら会話しています。会話の最初(写真2)の頃はどうしようか迷っているのでしょうか?近くのネオンが映って、全身が赤と青になっています。


ところが嘘をついた場面では画面は真っ赤に(写真3)。さらに、意を決してケトルマン夫妻に匿名で警告の電話をする場面では公衆電話の青が目立っています(写真4)。

ちなみにこのジミーの警告電話を受け取ったケトルマン夫妻の服装は茶系+緑でニュートラル。
このルールに沿った場合、ジミーは?
「ブレイキング・バッド」の派手派手なソウル・グッドマンと違い、「ベター・コール・ソウル」のジミーは茶色や黒のスーツに目立たないネクタイと、基本的にニュートラルな色を着ています。この頃のジミーは良くも悪くも「普通の」「目立たない」人だということでしょうか。ただ、ジミーのボロ車は、すすけているものの派手な黄色と赤のコンビでしたね。
あまり深読みしすぎると「BRAVO VINCE」になりそうですが、この「カラー・セオリー」については、Netflix公式から動画も公開されています。